東京大学病院の循環器内科で昨年秋、
カテーテル(管)を使った心臓病の最先端治療で40代の男性患者が死亡した。
東京都は医療法に基づき12月に立ち入り調査し、
安全が確認できるまで同治療を中止するよう指導した。
同病院などによると、事故があったのは「マイトラクリップ」と呼ばれ、
心臓の中で血液が逆流する「弁膜症」などの患者に対し、
カテーテルを使って心機能を改善する治療法。
手術で胸を開く必要がなく患者への負担が小さい。
昨年4月から保険適用され、全国の大病院で実施されている。
東大病院は昨年7月に導入した。男性は6例目だったという。
男性は昨年9月に治療を受けた。医師が治療を始める際に、
心臓に穴を開けようとしたが、開けられず、治療を中止。
男性は直後に容体が悪化し、翌月死亡した。
事故を受け、同病院は治療の自粛を決め、
第三者機関「日本医療安全調査機構」に医療事故として届け出た。
同病院は「治療を実施する判断に誤りはなかった」とし、
事故原因については今後、外部の専門家を交えて院内調査を行う方針。
都も院内調査結果の報告を求めている。
東大病院は毎日新聞の取材に対し「外部委員を交えた厳正な審査を受けて、
今後の対応を考えたい」としている。