2012年8月29日の読売新聞に、「妊婦血液でダウン症診断」
「精度99%」という大きな見出しが掲げられました。
13年4月から始まるNIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)の解説でした。
NIPTは従来の出生前診断と大きく異なるため、「新型出生前診断」とも呼ばれました。
母と子のDNA解読 染色体の量を知る
「新型」とはどういう意味でしょうか?
21トリソミー(ダウン症)などの染色体異常の胎児を生まれる前に診断するために、
従来、2種類の検査がおこなわれてきました。
一つは、針で「羊水穿刺(せんし)」をして胎児の細胞を採取し、
染色体分析をおこなう確定的検査です。
もう一つは、妊婦の血液を採取して特定のたんぱく質の量を測る母体血清マーカー診断(クアトロマーカーテスト)
や超音波で胎児のうなじの浮腫の厚さを測定する検査です。
これらは、いずれもダウン症の赤ちゃんが生まれてくる「確率」をはじき出すものです。
つまり非確定的検査です。
こうした従来の確定的検査や非確定的検査に対し、「新型」と表現されるのがNIPTです。
具体的には次のようにして行われます。
この新型出生前診断では、妊婦の血液を検査します。
妊婦の血液の中には、母親由来の遺伝子DNAと、ごく微量の胎児DNAが混ざっています。
DNAはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という四つの文字の羅列で表されます。
血液に含まれるDNAの文字を、母親由来と胎児由来とに区別することなく、すべて解読してしまうのです。
人間の染色体は、父から23本、母から23本を受け継ぎ、合計46本からなっています。
染色体は大きい順に、1番染色体、2番染色体、3番染色体……と番号がふられています。
現在の医学では、DNAの文字配列を読むと、それが何番染色体の上に乗っているかが分かります。
こうして、母と子のすべてのDNAを解読すれば、染色体の量を知ることができるのです。